◇アコヤガイの殻でマニキュア開発
においわずか 除光液不要南予の真珠養殖で大量に発生するアコヤガイの貝殻を有効利用しようと、四国中央市の紙加工会社が同貝殻の粉末を使ったマニキュアを開発して販売を始めた。一般的なマニキュアのようなシンナー臭がないうえ、通気性があってつめにもやさしく、自然派志向の女性らの人気を集めそうだ。(藤家秀一)
このマニキュアの商品名は「箔珠光(はくじゅこう) 」 。紙加工をはじめ、備長炭を使った外壁用塗料やミカンを使ったせっけんの製造など数々のアイデア商品で知られる太平紙器(同市川之江町) が開発した。
アコヤガイの貝殻の粉末がとけ込んだ水溶液の上澄みに特殊な樹脂やシリコンの一種を加え、独特のつやを持つマニキュアができた。さらさらとした質感で、つめに塗ると約30秒で乾き、透明で美しいつやが出る。瓶の中では固まりにくく、最後の一滴まで使い切れる。
一般のマニキュアの多くに使われて大量に吸い込むと有害な有機溶剤(酢酸エチルなど)を含まないうえ、つめからはがす時もお湯で手洗いすればよい。つめの脂質を奪う除光液を使う必要がないため、つめの健康にもよいという。
「偶然が重なり、たまたまできた商品」 とほほ笑むのは社長の大平学さん(54) だ。昨年7月、自身が委員を務める県の経済諮問会議で「真珠養殖では以前から、大量に出るアコヤガイの貝殻の活用方法が課題になっている」と聞き、商品開発の検討を始めた。宇和島市の下灘漁協から貝殻を送ってもらい、社長室で実験中、貝殻の粉末を含んだ水が偶然、手のつめに付いた。独特の光沢があり、水洗いしても取れなかったため、「マニキュアに応用できる」 とひらめいた。大阪の樹脂メーカーに声をかけ、半年かけて完成させた。
商品テストでは、女性社員を含め、延べ100人以上に試してもらった。同社企画室の森本千瑛(ちあき) さん(22) は「においがほとんどしないので、人が多い公共の場所などでも気にせず塗ることができる」 とお気に入りだ。大平さんは「つめに負担をかけないので、はがす必要がない。塗った後のケアも簡単で、お年寄りや男性にも使ってほしい」と期待を込める。
県農林水産研究所水産研究センターなどによると、県内の真珠養殖では年間約1千トンのアコヤガイの貝殻が出る。服のボタンなどの材料としてベトナムなどに輸出されているほか、肥料や道路の舗装材などにも再利用されている。最近は輸出が急増しているが、数年前までは約500トンが廃棄され、1キロあたり約30円の処理費用がかかっていたという。
マニキュアは5・5ミリリットル入りで1050円。同社のホームページ(http://www.taiheishiki.co.jp) から購入できる。問い合わせは同社(0896・58・2533)へ。
